「 戦争に反対 ではない 」人へ

Protest against the War Bills, july 17th 2015.
違憲であるにもかかわらず強行採決に至った「戦争法案」こと安保法制に反対する、SEALDs1主導の3日連続デモのラスト、2015年7月17日金曜日の朝。「平和を願うけれども、“反対”という言葉が悪い影響を与えるから 戦争に反対 ではない」ことを訴えるという、あまりにも「?」が浮かぶ記事2にたくさんの人が反応し、拡散していました。

そんな文章を支持する人たちがあまりにも多いようでは、日本が変化することは難しいという危機感を感じ、夕刻のデモ参加中に一気に書いた文章を、一部推敲の上でまとめておきます。

「戦争に反対ではない」人へ

怒るのって疲れるよね。

だからさ、おれだって好き好んで怒ってるわけでも、戦争法案反対のいろいろを拡散してるわけではないんですよ。

しばらく前にもつぶやいたけど、本当は「好きな音楽やダンスのことだけ考えていたい」よ。でも、いい未来を本当に作りたかったら、行動しなきゃできるわけがない。「心のなかで平和を願う」だけで平和が来るなら、世界は平和を通り越してとっくに極楽浄土が来ちゃってます。

あなたが、「戦争や原発に反対するのではなく平和を願う」と言っている間に、シリア3やイラク4、イェメン5、ガザ6をはじめ世界中のあちこちで、戦争に巻き込まれて死んでいく人たちがいる。その人たちのことを想像した上でも、同じことが言えますか? 座して「願っている」余裕なんて僕らにはもうないんです。

理想に近づくために行動で示してる人たちの使う言葉が「反対」だからって、それを否定するようなことは言わないでほしいんだ。それにそういう言葉にいいねしたりシェアしたりしないでよ、本当に平和を願ってるなら。

ただ願ってても平和はこないよ、間違いなく。

ひとりひとりが少しずつ考えて発言して、おかしなことには怒らなきゃ、利用されるだけで終わり。「みんな仲良く」と「事なかれ主義」はすごーーーーく近い。仲が悪くなろうが、カドが立とうが大事なことは言わなきゃいけない。平和を夢見てすんでいた時代は、残念ながら終わってる。

もう日本には経済成長という追い風がない。だから気を抜いたら、みんな誰かに利用されてしまうよ。ひとりひとりが、少しでいいから政治のこともチラッと考えてる投票する、議員がまともか気にする。そうすれば絶対に政治は良くなる。それが民主制のいいところ。今すぐ結果は出ないけど、みんなが行動したら数年もあればガラッと変わる。

反対することも議論することも大事なんです。だってみんなひとりひとり、同じ人なんていないから。だからこそ発言する。そこで使われる言葉が強いからって、発言することそのものをネガティヴに捉えるようなことはしないでください。

やわらかい真綿のような、耳触りのよい言葉のなかだけで生活していたら、あなた自身が消えてしまうよ。

[追記]
安保法制の問題点について、SEALDsがまとめた非常にわかりやすい動画がありますので、ご興味持たれた方は下記もご覧ください。

  1. Students Emergency Action for Liberal Democracy sという、安保法制への反対運動で大きな役割を果たしている大学生の団体です。
    >> www.sealds.com
  2. その内容は自分にとっては言語道断と言えるほどなので、リンクはしません。読みたい方は検索なさってください。
  3. アサド政権による圧政、それに抵抗する反政府軍、その争いに目をつけてイラクから侵入してきたISISらが、一般人を巻き込んでの戦禍を巻き起こしています。住む家を追われたシリア難民は既に400万人を越えました。
  4. ジャーナリスト後藤健二さんの誘拐と斬首で日本でも有名になった“ジハディスト”集団ISISを中心に、民兵組織がイラク政府や少数派民族のクルド人を攻撃し続けています。
  5. 民主的に選ばれた政権を民兵組織Houthisが武力で圧倒したことをきっかけに、サウジアラビアを中心とする各国軍が空爆を開始。一般人も多数殺害されています。
  6. イスラエルの行うパレスチナ迫害については、説明するまでもないでしょう。