英語を「使える」ものにするためにやっていること、やめたこと。

昨日の「英語を学ぶのに、toeic対策や単語記憶をやめてみた」に続いて、具体的にどんな勉強が役に立っているか、書いてみます。

1. 外国語をあくまで目的を果たすための道具として使う

まず、前記事のビデオでChris Lonsdaleさんが述べている“5 principles & 7 actions”のなかから、ひとつ目に説明されている“Meaning, Attention, Memory, Relevance”について。

これは逆に言うと「外国語を使えるようになること」を目標にしてはいけない、という意味。

外国語を「自分の興味があること、いまrelevantであることへの道具として学ぶ」と説明されていますが、僕の場合だったら、「移住したい」→「ワーキングビザを取るために英語圏での仕事がしたい」→「その実績とするために、国内でも英語を使った仕事をしたい」という風に噛み砕きました。そう意識したからといってすぐにそういう仕事ができるわけではありませんが、いまはアメリカ人、イタリア人などいろいろな国の人と一緒に仕事をするチャンスを頂いています。そして、そのなかで使った言葉、教えてもらった言葉はいとも簡単に覚えられます。それを知ったらすぐに自分で使うこともできるわけです。

仕事でそういう機会がなくても、例えばシングルの人なら、ぜひ学んでいる外国語のネイティブの異性を見つけて、お友達になりましょう。その人のことを理解し、理解してもらう、そのために言葉を「使う」んです。たとえそれが恋愛にならなかったとしても、恋愛につながるかもしれないというだけできっと効果は倍増します(笑)。シングルでない人は、友人関係を楽しめばいいですが、そのためには共通の趣味やなにかが必要かもしれませんね。出会い方については、今はネットやいろいろなアプリがそれを提供してくれていますし、都会に居る人ならチャンスはかなり多いのは間違いありません。

2. 翻訳しない

講演をかなり飛ばして、“7 actions”の最後。“Direct Connect to Mental Image”です。この例では「Fire → 火」と覚えるな、「Fire →🔥」それから「🔥→火」と覚えろ、と言ってます。

さらに付け加えるなら、Fireと火は100%同じ意味/ニュアンスを持つ言葉ではありえません。10年ほど翻訳の仕事をやっている中でも実感したことなんですが、言語が違う人は、極端に言えば「違う世界」に生きています。例えば前段で書いた“relevant”という言葉、これは日本語で訳すことがかなり難しい言葉のひとつです。「(問題になっていることに)関連性のある」とか、「(時代に)噛み合っている、のっている」というようなニュアンスですが、ぴったりくる日本語は思いつきません。他にもよく言われるのは“I  miss you”という英語にはぴったり来る日本語がないとか、“I love you, I want you, I need you”を日本語に直訳するとサムい結果に終わるとか。

こういった例は、すべて違う言語の間で完全に意味が適合する訳語は存在しないということの証明です。つまるところ、日本人は“I love you”という感情をはっきり伝えるのにぴったりな言葉を必要としてこなかったわけです。

自分はある程度の語彙を身につけてからこの考えに至っているので、これから勉強する人に有効かというとわかりませんが、できる限り、A=Bと記憶するのではなく「文脈で言葉の意味を想像する」ことが重要なのは絶対です。英語を話したいなら、英語人の見るように世界を見ることを知らなければいけません。この考えでいくと、複数の言語を身につけるということは、複数の世界を見ることができるようになるということでもあります1。想像するだけで素晴らしいことでしょう!? 自分は早く次の言語に進みたくて仕方ない気持ちもありますが、今は英語に集中しています。

もうひとつ、この「イメージと言葉を直接つなげる」ことの延長として、読む上では「辞書を引かない」こともおすすめします。とにかくわからなくても文脈から推測して、読む量を重視すること。ひとつひとつを完璧に理解しようとしても、見ている/感じとる世界が違うのだからそもそも100%理解するなんて絶対に無理なのです。それよりもその言葉に何度も出くわしていく中で、その意味を「体感」すること。子供が言葉を覚えるように覚えるのが一番、理想的でしょう。

3. 目標の外国語で自分の周りを埋め尽くす

これは気をつけないといけないポイントでもあります。件の動画のなかでも、言葉の海に「泳ぎ方を知らないまま溺れる」例として、香港に10年以上暮らしても中国語がまったく出来ない英語人、アメリカやイギリスで10年以上暮らしても英語ができない中国人が例にあがっています。いきなりその国に行ってみることも役に立つことはありますが、あまりにも言葉がわからないことに負けて同国人で集まってしまい、まったく英語が身につかない、という例はNYCあたりにいけばいくらでも見ることができます(笑)。

素晴らしいことに、今はネットがあります。この投稿自体そもそもTEDの動画がきっかけであるように、世界とつながることができる。一流大学の講義を見ることだってできるし、海外のドラマだって見ることができる。

自分の好きなドラマをより楽しむために、DVDでももちろんいいので、まず日本語字幕で英語を聴き、次は英語字幕で見て、最後に英語音声のみで挑戦。自分が最初から全部英語でチャレンジした記念すべきドラマ第1号は“Game of Thrones”でした(笑)。ちなみにちょうど「みんな見てないけど見たらハマるドラマ」がRefinary29で紹介されているので、リンクしておきます。

また自分の場合、もともとニュースサイトやウェブ制作にかかわるサイトに目を通すことが多かったのですが、それをほぼすべて英語サイトに切り替えました。実際、最初は読むのが大変でしたが、情報の量も質も圧倒的だし、職業柄、新しい情報はほぼまず英語で書かれます。というわけで、実益にも合致しているし1の「道具としての外国語」というところにもぴったり。音楽情報のサイトはもともと英語サイトばっかり見ていたこともあり移行は比較的、楽でしたが、やはり経済用語や略語が頻出する政治系などはなかなか噛みごたえがありますね。

というわけでまずは3つ、挙げてみました。
この方向でまだ書くネタがありそうな気がするのと、TOEICのような語学「資格」について思うところがあるので、もう一本くらい書いてみますね。

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  1. こういった視点は、ガメ・オベール氏の強い影響を受けたことも書いておきます。