野良ねこと人間

ベランダから、置物のような姿でこちらを見る黒ねこ

猫を飼っています。
「ねこ」、とひらがなで書くほうが好きだな。
みな、野良だったところを捕獲されたり、なぜか後をついてきたりしてうちに来たねこたちです。

猫は殺され続けている

野良で育った子は人に警戒心を持っていることが多いのだけど、どんなに警戒心がつよい子でも、ご飯をあげ続け警戒する必要はないよ、という姿勢を見せてあげると、まあこれまでのところ3ヶ月もすれば慣れてくれます。警戒心のつよい子ほど、いったん慣れると甘えっ子になるというおまけもついてくる。

身体に比して目が大きめのバランスに綺麗な曲線を描く体躯の美しさもあって、僕ら人間はねこが大好き。ネットで最も人気のあるネタのひとつはねこの写真だそうですから、世界共通といってもいいでしょう。

でも、そのねこたちが、日本では年に8万頭ちかく1も「殺処分」されています。保健所で殺されるんですね。

なぜそんなことが起きるのか。
ねこは年に3、4回妊娠し、平均4匹の子どもを産みます。
1匹のメスが4回妊娠し1階4匹産んだとすると、それだけで年に16匹。さらにその子ねこたちも生後半年で子どもが産めるようになるので、各出産で半数がメスだと仮定すると、最初の出産2匹✕孫4匹✕2回+2回めの出産2匹✕4匹✕1回。

合計して40匹にもなる多産なんです。

でもでも、そこまで増えているように見えませんよね?
それだけ、病気で死んでしまったり、例えばカラスに食べられたりして、子ねこの半分以上は死んでしまうようです。大きく育っても、飢えれば病気になりやすいし、事故で死ぬこともあります。そして、生き残ったとしても近隣住民の苦情や下手をすればエサをやっていた飼い主たちの手で保健所に送られ、殺されていく。

そんなの嫌じゃないですか。
だから、ねこ保護という活動があります。大きな柱として、野良ねこを捕まえて不妊手術をし、里親を探すか、また野良に戻すのです。

もっと大事なこともある、かもしれないけれど。

もちろん、こういう活動には賛否あるでしょう。「野生の生き物なんだからほうっておくべき」とか「子どもを産めなくするなんて」とか、そういう意見もあるはず。

自分の場合、ねこたちは長い時間の中で人間と共生する生き物として数を増やしたと考えています。だから野良ねこを「自然」と呼んで、自分たちの行いと切り離したりせずに、つらい目にあうねこが減らせるならできることをやろうと思っています。

それより気になるのは、こういった活動を通じてねこたちの手術や薬の投与、エサ代などなどでかかるお金を、人間を助ける方に回すべきではないだろうか?ということ。寄付というのはあくまで一時的なサポートにしかならないことは承知のうえで、シリア難民やロヒンギャなど、本当に普通の生活を奪われてしまった人たちが、新天地を見つけたりなんとか急場をしのぐための援助を優先すべきかもしれない。それに、ねこは助けるのに豚や牛、魚は殺して食べるの?という疑問もある。

そういうことを日々悩みながらも、雨に打たれて風邪を引いてしまいそうなねこや、十分にはたべれていなそうな野良ねこを見つけたらエサをやるようにし、明らかに病気だったり、妊娠していたり、子ねこが生まれてしまったら保護する。そういう日々を送っています。

いまも、ゆっくりと里親探しをしているねこたちがうちにいます。

子ねこのかわいさは本当に強烈なので、里親さんが見つかることが多いのですが、大人ねこたちはなかなか難しい。飼う上では、大人ねこのほうが騒がないし、大運動会もやらないから飼いやすいんだけどな。

ここまで読んでくれた人に、心に留めておいてほしいこと

という状況を踏まえて、勝手ながら読んでくれた人にお願いです。

もし、あなたが「ねこを飼いたいな」と思ったら、保健所に行くか、里親探しをしている団体を探してみてください。
きっと、あなたの心を奪う出会いがあるはずです。

もし、あなたが不動産所有者で賃貸に出している物件があるなら、ペット飼育可にすることを考えてみてください。

もし、あなたがねこを嫌いだとしても。野良ねこが目についたとしても、保健所に通報するようなことはせず、ボランティア団体に連絡してみてください。

お願いをするような筋合いのものではないのですが、生き物に接する上で、心に留めておいてもらえればと思います。

  1. 平成26年には79,745頭が殺処分されました。そのうち約6割が子ねこです。