いきなりですが、猫派です。
猫さんぽが日課です。
場合によっては雨の日でも行きます。
住んでいる一帯の野良猫を見つけてはご挨拶して回ります。
たまに、ついてきてしまったり、隣に座って眠りこける子猫が居たりして、そういう縁があると保護します。幸運にも、里親さんにも恵まれてみんな元気です。
いまも、足がすらっときれいな、キリッとした顔立ちの猫1を保護しています。最初は子猫か、生後半年くらいの子だろうと思っていたら、なんと妊娠中。妊娠中でも網戸を登ろうとするあたりから見ても、せいぜい1歳になるかならないかというところだろう女の子。
ちなみに母猫から生まれてくる子猫は、1度に平均して4匹。8匹も生まれることがあるそうです。まあ4匹生まれたとして、5匹は里親探しをするつもりでいます。
実は、こういった保護猫は、これ以上妊娠しない・させないように多くの場合、避妊手術をします。雌猫は年に平均2.5回出産すると言われ、これだけの数を産みますので、平均4、5年生きると言われる野良だと単純計算で40匹ほどの子猫を一生の間に生むわけです。何故か一定のところで増加数は抑制され、ねずみ算のようには増えないという話もありますが、とてもたくさんの猫が日々生まれているのは間違いないわけです。
ところで、前述のとおり野良猫だと平均年齢はおよそ4、5歳。
人に飼われる猫は、長ければ20年ほど生きるのに。
野良犬と違って人に脅威をもたらさない野良猫は、地域によって程度の差はありますがだいたいにおいて放置されています。そのなかでも苦情があったり、飼えなくなった猫はいわゆる保健所に連れて行かれ、多くの自治体では引き取り手の募集が行われたあと、殺処分されます。平成25年には日本で約10万匹もの猫が殺処分されています。
そのほかにも病気になったり事故にあったり、殺処分されるような目にあう猫を減らすために、避妊手術が勧められているんです。それこそカトリックなどからしたらあり得ない発想かもしれませんが。
これはもちろん人間の良心という皮を被ったエゴでもあり、また捕食者がいなくなった都市部の「自然」の姿でもあります。
この「自然」を説明するなら、僕ら人間も自然の産物であり、自然の一部である以上、人の業に線を引くのは意味がないということ。例えばSFでよくある人間がロボットに支配される設定だって「自然」ということはできるのです。そこに善悪は存在しません。
だから、放っておけば増え続けて、そして死んで/殺されていく猫たち。それも「自然」と考えれば僕らは別に、気にしなければいいだけでなにもする必要はない。
でも僕は気になるんです。
だから猫を飼うことにした時も、野良から「保護」された猫を引き取りました。そのあとも、病気やケガの猫を見つけたらできるだけのことをしました、放っておけないから。よく言いますよね「そんなの偽善だ、すべての動物を救えるわけでもないのに」とか「そんな金があったらアフリカに寄付でもすれば?」とか。
それこそ、なにもしないでいるための言い訳ですね。目の前に自分が助けになることがあるなら、自分から動かなければ、世の中は少しも動いてくれない。「世界が平和になりますように」とか言ってるヒマがあるなら、目の前で困ってる人を助ける。人間が地球の上で大きな顔をしていられるのは、そうやって社会を形作ってきたからです。
もちろん、自分でできることには限りがある。自分の生活時間や経済力の中でしか手助けもできない。でも、もしそれが大きな規模になったら? 多くの人がほんの少し動いてくれれば、意外に世の中変わるかもしれない2。
例えば、以前住んでいた渋谷区では野良猫・保護猫の避妊手術に補助金を出していました。そういう自治体は全国でかなりの数になるようです。僕が育った団地のすぐ南にはいま、避妊手術を受けた猫たちが放され、おそらく定期的に給餌されている大きめの公園があります。近所の駅前でも、毎週末のように、おばさんたちがケージに入れた保護猫を並べ、引き取り手を募集しています。
そういう小さい善意が集まっているからなのか、ちょっと正確な要因まではわかりませんでしたが、実は先ほど上げた殺処分数、また特に殺処分率は2004年頃から明確に減りだしており、保健所などから引き取られていく割合いが増えています3。
ということで、自分もただ猫さんぽしているだけではなく、近日中に今住んでいる地域でも保護猫・野良猫の避妊手術に補助金を出せないか、市議会議員に相談に行ってみようと思っています。こういうところから、自分たちの望む国の姿へ近づけていけるように、変えていくことができるかもしれない。
いま国レベルで騒然としている数々の問題も、きっとそういうことの積み重ねで変えていけますから。
- 保護翌日の写真
- ちょうどこの記事を書いているなかで、ギリシャの債務危機をみんなで3ユーロくらいずつ払えば助けられるよというクラウドファンディングが始まりました。2日めに入った時点で約3万人が参加、43万ユーロ(約5900万円)ほどが集まっているというとても面白い試みです。
- 環境省 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」