「現実主義者」への質問 – 安保法制の問題点

「リアリスト」を自認すると思われる保守派、またはその支持者の方々に伺いたいことがあって、またツイート連投しました。戦争法案という言葉も使いません、「安保法制の問題点」と自分が考える点をまとめたものです。

ぜひご一読いただき、異論反論ふくめご意見いただければと思っております。

安保法制の問題点

1. 憲法に違反しているのでまず改憲手続きが必要
憲法と相反する法律を通したければ、最高法規である憲法をまず変えるべきですよね。今回、憲法を変えなくても衆院で2/3の議席を握れば無理が通せるという悪しき前例1を作ったので、現行の仕組みに矛盾が生じている。だから今後こういうやり方は無効なのか有効なのか、という国会法なり憲法なりの修正も必要になります。そしてその際、自衛隊の役割とか存在意義をしっかり議論して、自衛権と戦争放棄をどう両立するのかを明文化すればよい。日本も戦争できるように憲法修正するべきだという議論がきちんと具体的に進むならそれもひとつの方向でしょう。

2. 実施するためのコストが不明確
推進派も、軍事費がこれからどうなっていくのか、どんな武装や兵力、基地にお金をかけていくべきかとかいう話はしていない。(仮想敵とほぼ言っちゃってる)中国は年間予算で日本のだいたい3倍の軍事費2を使い続けてるけれども、それに立ち向かえるのでしょうか? 社会保障費だけでも「年金破綻は必至」とかささやかれている日本でそういう軍拡競争をやる体力はないでしょう。ちょっとずれるけど、そもそも人口が違いすぎるし、核武装してる国を通常兵力増やして挑発してどうするのか。

3. 推進派がこの法律によって日本が得られる利益、危険性などを説明せず、単純な比喩だけで済ませている

これも最悪。お陰で突っ込みどころ満載で、結局、今後の日本がどこに向かうべきかみんなで考えぬく、というところにいつまでもたどりつかない。推進派も困ってるでしょう。

法案推進派の間からは仮想事案として出ていると思われる
・ホルムズ海峡 → イランとアメリカが合意締結
・中国の南沙諸島など進出 → 既存の自衛権で対応可
・北朝鮮 → ミサイル防衛は理論的に無理、韓国と北朝鮮が戦争になったら韓国をサポートするの?
など想像してみても、この法案がどこに向けた話なのか正直さっぱりわからん。

保守派のみなさん、本当に「保守」なんだったら、現実的な視点で国を立て直す方策を考え抜きましょうよ。「経済ヤバイから戦争できるようにして儲けちゃおうぜ」とか、「こうすれば日本は影響力を増し、経済を立て直すことも世界に貢献することもできる」っていう具体的で持続可能なプランが出てくるならともかく、「血を流さない国は尊敬されない」とかって時代錯誤で若者を死なせる道を開くのはやめてください。

もし上記の問題点にお答えいただける方がいたら、Twitterへご連絡いただければと思います。
お待ちしております。

ps. 「安倍政権は保守じゃない」というお話も歓迎です。

  1. 2015年7月15日 衆院安全保障委員会強行採決、可決
    2015年7月16日 衆院本会議強行採決、可決
    しかし憲法97条第1項には、「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」とあります。
  2. 日本が500億ドル前後、中国が1400億ドル前後